手術後、順調な回復を促す2つのポイント
白内障の手術はきわめて安全性が高く、スピーディに終わる手術です。他の眼科疾患や基礎疾患がない限り、所要時間は約10~30分程度となります。痛みはほとんどなく、身体的な負担も少ないため、両目同時に手術を受けられたとしても、数時間後には帰宅することが可能です。また、デスクワークなど身体に負荷のかからない仕事であれば、翌日から復帰できます。しかし、手術後の回復を順調に進めるために「これだけは守ってほしい」というポイントが2つありますので解説していきます。
<ポイント①>必ず目薬を差しましょう
1つ目は、きちんと目薬を使うことです。手術後、患者様には3種類の目薬を処方いたします。この目薬には、手術後の炎症を抑えたり、感染症を予防したりと、手術後の目を守る役割があります。手術後の経過にもよりますが、数ヵ月程度使用していただきます。差し忘れてしまったり、勝手に回数を減らしたりすると、傷の回復が遅くなることがあります。安全かつ順調に回復させるためには、決まりを守って使用することが大切です。
<ポイント②>傷口には絶対触らないでください
2つ目は、目を擦ったり触ったりしないということです。一見清潔に見えても、目の周りや手のひらなどの皮膚には、「常在菌(じょうざいきん)」と呼ばれる菌が存在します。皮膚の上にいる限りは問題ないのですが、目に触れるとその菌が粘膜から中に入ってしまい、繁殖して悪さをすることがあるのです。目を強く擦ったり、頻回に触ったりしなければそのようなことは起きにくいのですが、用心するに越したことはありません。また、毛髪に菌がいることもあるので、髪の毛が目に入ることのないように注意しましょう。もし菌が目に入ると感染症が起こり、視力が下がったり、目の中を綺麗に洗う手術が必要となったりする場合もあります。そうなればもちろん術後の回復も遅れてしまいます。
日中はもちろん、夜間も含めて注意が必要です。特に就寝中は無意識に触りがちなので、保護メガネや眼帯などを使用して、目をガードしていただきます。
以上の2点を守っていただければ、手術創は順調に回復します。洗顔やお風呂、お化粧、スポーツなど、できることが日毎に増えていきます。少し面倒かもしれませんが、短期間においての注意事項なので、守ってくださいね。