白内障を知る

白内障の方こそ注意すべき緑内障のリスク

視神経にダメージを与え、視野狭窄や、最悪の場合、失明を引き起こす緑内障。眼圧が高まることが原因の一つと言われていますが、白内障の手術をすることにより、一部の緑内障のリスクを低下させることができます。

緑内障はこんな病気

緑内障は、目から入ってくる情報を網膜から中継して脳に伝達する「視神経」という組織に障害が起こることにより、徐々に視野が欠損していく病気です。

従来、緑内障は、目の中を満たしている「房水」と呼ばれる水が増えすぎて眼圧が高くなったために視神経を圧迫することが最大の原因、と考えられてきました。

ところが近年の研究により、眼圧が正常であっても緑内障を発症する人が多くいることが確認されました。これは正常眼圧緑内障と呼ばれるもので、初期には自覚症状が現れないため発症しても気づかない人が多かったのですが、実は緑内障のうち過半数がこの正常眼圧緑内障であることが分かりました。

視神経は、細い神経線維100万本が束になったものです。何らかの理由で視神経が他の人よりも弱くなっている場合、眼圧の数値が正常の範囲内であったとしても、視神経が阻害される事態が発生し、緑内障を発症すると考えられています。

 

眼圧が高くなる理由

視神経が弱くなっていなくとも、眼圧が高くなると視神経は圧迫されて阻害されてしまいます。眼圧が高まる原因は、眼球の中の房水がうまく排出されないことによります。

眼球は、内側が房水で満たされることによって、丸い形を保っています。ゴムボールが、空気が入ることによって球形を保つのと同様です。

房水は目に栄養を供給するとともに、老廃物をともなって隅角という場所にある線維柱帯からシュレム管を通って静脈に排出されます。

房水の出口である線維柱帯が詰まったり、隅角が狭くなって循環が悪くなると、房水がうまく排出されなくなるため眼球内にパンパンに詰まって眼圧が高まっていくのです。

そして視神経を圧迫して、阻害するようになっていきます。

 

 

白内障を放置すると緑内障のリスクを高めてしまう

実は、白内障が緑内障の発症リスクを高めていると言ったら、驚かれるでしょうか?

誰もがいつかはかかる加齢性白内障は、加齢が原因で水晶体のたんぱく質が変性し、白く濁ってしまう病気です。ところが、このとき水晶体は濁るだけでなく、徐々に大きくなっていきます。大きくなった水晶体は虹彩を圧迫し、隅角を狭くしてしまいます。隅角が閉じてしまうと房水の排出ができなくなって眼圧が高まり、緑内障を発症するのです。これを閉塞隅角緑内障といいます。

閉塞隅角緑内障になると、まれに完全に房水の排出が止まって急速に眼圧が高まり、急性緑内障発作を起こすこともあります。この病気は激しい目の痛みのほか、頭痛や吐き気を催します。どんどんと視神経が阻害されていきますのですぐに手術やレーザー治療をする必要がありますが、もし対応が遅れると、一晩で失明してしまうこともある怖い病気なのです。

白内障により隅角が狭くなっている状態[閉塞隅角]

 

 

 

 

 

白内障手術で眼圧を下げることができる

隅角が閉塞したら、白内障手術を行うことで眼圧を下げることができます。白内障手術をすると、水晶体の中身を眼内レンズに置き換えるので、虹彩を圧迫することがなくなるのです。また、加齢によって水晶体が大きくなっていくこともなくなりますので、緑内障を発症していない方の、閉塞隅角緑内障の発症リスクを下げることができます。

白内障手術により隅角への圧迫がなくなった[開放隅角]

 

 

 

 

 

白内障手術で緑内障を発見できる

緑内障の恐ろしさは、初期症状に気づきにくいという点にあります。

初期にはごく小さな視野欠損が起こりますが、目には片方が見えづらくなると、もう一方がそれを補う性質があるため、この段階で気づくことはほとんどありません。

そのため、視野が欠けていることを患者さま本人が自覚できるようになった時には、かなり症状が進行した状態となります。

目の神経細胞は、一度ダメージを受けてしまったら、二度と元に戻すことができないため、失われた視野を取り戻すことはできません。

しかし、白内障手術によって、見つけづらい緑内障を早期に発見できる可能性もあります。手術をする際に非常に詳しく目の検査をするので、その際に緑内障などの他の病気を発見することができるのです。

白内障手術をすることで、白内障を治療できるだけでなく、もっと恐ろしい病気を早期に発見でき、いち早く対処することができるようになります。そういう意味でも、白内障手術は積極的に受けたほうがいいと思うのです。

関連記事

白内障手術無料説明会

お申し込みはこちら