白内障を知る

自分に合った「多焦点レンズ」の選び方

白内障手術に使用する眼内レンズには「単焦点眼内レンズ」と「多焦点眼内レンズ」があります。しかし最近、後者を選ぶ患者さんが増えています。

多焦点眼内レンズなら「メガネいらずの生活」に

もちろん、多焦点眼内レンズを選ばれやすい背景には、それなりの理由があります。単焦点眼内レンズは、名前のとおり1点の距離にだけ焦点が合うように作られています。その1点とは「近方(30~50cm)」と「遠方(5m)」のいずれかで、「本やスマホを見る距離」、もしくは「屋内・屋外などで自分を取り巻く周囲を見る距離」のうちどちらかに合わせる、といえばわかりやすいかもしれません。仮に近方を選んだ場合、遠方を見るときは焦点が合わずにぼやけてしまうため、メガネが必須です。逆を選んだ場合も同様です。

一方、多焦点眼内レンズは複数の距離に焦点を合わせることができます。近方も遠方もよく見えるようになるため、メガネを併用する必要がなくなります。

3焦点なら「近方」「中間」「遠方」すべて見える

最初に開発された多焦点眼内レンズは近方と遠方にピントが合う2焦点眼内レンズで、日本で初めて認可されたのは2008年のことです。

しかし当初、2焦点眼内レンズにも欠点がありました。夜間は照明などに対して「まぶしさ(ハロー)」や「にじみ(グレア)」を感じやすいという点です。夜に車を運転すると、対向車のライトや街路の照明がまぶしくてハレーションを起こしたように感じることがありました。そのため2焦点眼内レンズは車を運転する人には向かないといわれてきました。

しかしその後、50cm以上の距離すべてに焦点を合わせることのできる「焦点深度拡張型眼内レンズ」が登場しました。このレンズは多焦点眼内レンズの弱点といわれたまぶしさなどの違和感が軽減されたレンズです。このように、現在ではハロー・グレアを抑える工夫がなされた3焦点眼内レンズもいくつも登場しています。そういったタイプを選択すれば、「近く」も「中間」も「遠く」も見えて、さらに夜間も問題なく運転することができます。

3焦点眼内レンズは「近方」「中間」「遠方」の3箇所すべてに焦点を合わせることができるため、メガネをかけなくてもクリアな視界を手に入れられる可能性が高まります。

最適な眼内レンズは「生活スタイル」から判断

最適な眼内レンズを選ぶには、ご自身がよく見る距離・場所に焦点を合わせる選び方をするとよいでしょう。たとえば「近方」といっても、30cmあるいは、40cmや50cmなどの焦点を持ったレンズがあります。中間については、60cm、70cm、80cmなどがあります。このように同じ「近方」「中間」というくくりでも、焦点距離が少し異なるレンズがあるのです。

実生活のシーンに置き換えると、近方に関していえば、読書をするときとパソコンを使うときでは焦点距離が少し異なりますので、それによって、30cmにしたり50cmにしたりする、という選択の仕方です。また、夜間に車の運転をすることが多い方にはハロー・グレアの少ないレンズが向きます。そのほか、レンズは色のトーンなどの見え方・感じ方も左右します。柔らかい見え方を好むか、コントラストのはっきりした見え方を好むかという観点でも、合うレンズは異なってくるでしょう。

レンズが豊富&しっかり相談できる施設を選ぶと◎

このように多焦点眼内レンズにはたくさんの種類があり、それぞれ異なる特徴を持っています。「最適な眼内レンズ」というものは、目の症状の違い、見え方の違い、ライフスタイルの違い、年齢などさまざまな要素によって異なります。ご自分にとって最適なレンズを選ぼうとしても、迷ってしまう方が多いのは当然のことかもしれません。したがって眼内レンズの選択に関しては、しっかり詳細なカウンセリングをしてくれる医師、施設を選ぶことが重要です。

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