白内障お悩みQ&A

親が白内障のようです。検査を受けさせたいのですが、どう伝えればいいでしょうか。

ご相談者様

50代後半の母親が「最近、目がかすむのよね」とこぼすようになりました。心あたりがあって、ふと「それって白内障なんじゃないの?」と言ったところ、「いくらなんでも、そんな年齢じゃないわよ」と突っぱねられてしまいました。心配なので検査を受けてほしいのですが、どう持ちかけたらよいでしょう?

  • 白内障の可能性も視野に入れて検査をオススメするのは、冷静でとてもよいアプローチですね。でも肝心のお母様は前向きではないとのこと。実は検査に積極的になれない患者さんは少なくありません。そういった方々には特有の患者心理があって、それを理解すればスムーズに検査をオススメできるかと思います。実例を紹介しょう。

  • そうなんですか。どういった患者心理なんでしょうか?

  • もし自覚症状があるのであれば、「まだ若いから」「それほど困っていないから」などと言って放置するのはよくありません。やはり一度検査を受けるべきですし、医学的にもこれが正解です。でも患者さんとしては「今は真実を知りたくない」「どうしても怖い」という気持ちがあって、受診を先延ばしにしてしまうこともあるのですね。
    これについては、「行動経済学」という研究手法で詳しく説明することが可能です。なぜ経済学が出てくるの?と思うかもしれませんね。行動経済学には「人間はつねに合理的な意思決定を行うとは限らず、バイアスがかかる傾向にある」という有名な説があって、実は最近、これを医療の現場に応用する試みが行われているのです。
    たとえばがんの患者さんが治療法の説明を聞いて、「行うか行わないか」という意思決定を迫られたとしましょう。治療が不安でも、早く始めたほうが将来のためになりますよね。だから「行う」というのが合理的な判断です。しかしこのとき、将来的なメリットよりも、今感じている「治療への不安」のほうが重大に感じられてしまうことがあるのです。これを「現在バイアス」と言って、これに影響を受けた結果、目の前の利益を優先する行動、つまり治療を受けない・先延ばしするという判断に至ってしまいます。
    これは白内障においても当てはまると考えられます。病名をはっきりと告げられることが怖くて、どうしても受診を先延ばしにしてしまうのですね。

  • 私の母もまさにそれです(笑)。

  • ご相談者さんは、お母様から「目がかすむ」と聞いたとき、すぐに白内障の可能性を考えられましたよね。きっと白内障について調べたことがあって、諸症状はもちろん、手術についても全然痛くない、怖くないということをよくご存じなのでしょう。手術すればその後の人生も快適になると知っているからこそ、早く診断を受けてその後の治療に繋げて欲しいとお思いなのですよね。
    ですがお母様は、白内障にかかっている可能性には疑心暗鬼ですから、本当に加齢性白内障と診断されたらショックを受けてしまうかもしれません。また、「まだ発症する年齢ではない」とお考えのようですから、白内障についてはよくご存じではないものと推察します。病気や手術についてわからないことが多い状態では、医師やご家族が「手術すれば完治しますよ」と前向きなお話をしたつもりでも、すぐには受け止められないでしょう。これは仕方のないことだと思います。

  • もし眼科に連れていくことができても、必ずしも治療に繋げられるとは限らないのですね。そういった場合、どうすればよいのでしょうか?

  • 決心がつかない患者さんには、ゆっくり考える時間が必要です。そのため当院は「今すぐ判断してください」とは決して言わず、白内障やその手術のことがわかるオリジナルの小冊子をお渡しすることにしています。そうすると、多少の時間はかかりますが、ほとんどの患者さんは検査や手術について前向きになってくれますよ。この冊子は受診前でもお渡しできますから、いつでもご相談ください。

  • そうなのですね。ぜひ相談にうかがいます。

白内障手術無料説明会

お申し込みはこちら