レーシック手術を受けた人は、白内障手術が難しくなると聞きました。本当でしょうか
ご相談者様
過去にレーシック手術を受けた人の白内障手術は難易度が高く、手術の満足度も高くないとの情報を見つけたのですが本当でしょうか?30代のはじめにレーシックの手術を受け、良好な視力が得られて満足していたのですが、50歳頃から近くのものが見えづらくなり、そのうち遠くのものまで見えにくくなってきました。そこで診察を受けたところ、白内障と診断されました。手術して白内障を治す事は難しいでしょうか?
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レーシックの手術を受けられた人は、ご自身の健康のことについて意識の高い方が多く、ネット情報などよく調べられていらっしゃいますね。レーシック手術が日本でポピュラーになってから20年以上経ちます。20年前に手術を受けた方たちが、老眼や白内障の症状が出る年代にさしかかってきていることもあり、ご相談者様のようなご心配を抱かれる方が少なくありません。まず、レーシック手術を受けていると白内障の手術の難易度が高くなるか、というお尋ねについてです。これは、屈折誤差という問題点があるのみで、手術の難易度は変わりません。
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えっ、どういうことですか?
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医療技術的なお話をしますと、レーシックはレーザーで角膜表面の中央部を削り、角膜のカーブの形状を変えて異常屈折を矯正する手術です。近視が主な対象となります。削ることで屈折力を弱め、網膜上に正しく像を結ぶようにします。狙いどおりにいけば、ご相談者様もご体験されているとおり、良好な視力になります。
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レーシック手術をしてからは、子どもの頃から手放せなかったメガネやコンタクトレンズから解放されたので、感動しました。
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しかし、その効果はあくまでも手術を行う時点での屈折異常を前提としたもので、その後、近視が進行したり、老眼になったり、あるいは白内障になったりすると、別の対策が必要になります。ご相談者様は、白内障になって日常生活で不便を覚えるようになり、白内障の手術が必要になりました。その手術では、濁っている水晶体を取り除き、代わりに人工の眼内レンズを入れます。眼内レンズの度数は患者さまによって様々で、その方の眼の状態や見え方の希望をお聞きして決めるのですが、角膜の屈折力の影響も加味しなければなりません。
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ええ、わかります。
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統計的なデータをもとに計算をして、現在の角膜の屈折力をはじき出すのですが、レーシックを受けた方の角膜は削られて特殊な形状になっているため、一般的なデータをもとにした計算式を用いると、眼内レンズの度数にズレが生じ、たとえば遠視気味になったりします。それを回避するには、特別な計算式が必要です。しかし残念ながら、この確認をおろそかにしている医師がいることも確かです。
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計算式の誤差で、術後の誤差が生じるということですか?
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そうです。レーシックを受けた人の白内障手術は、こういったことを頭に入れて特殊な計算式で行わなければなりません。これらを怠ると、満足いただける効果が出ず、手術後のクレームにつながることがあります。特に多焦点レンズを入れるときに起きやすいです。
当院は、多焦点レンズの手術実績が数多くあり、安心して手術をお受けいただける環境を整えております。まずは、ご相談にいらしていただければと思います。