白内障手術の単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズはそんなに違うものですか?
ご相談者様
眼科クリニックにて、白内障だと診断されました。手術を検討しており、いろいろと調べているんですが、単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズは何がどう違うんでしょうか?
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白内障でいらっしゃるんですね。単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの違いが知りたいとのことですので、それでは二つのレンズの違いをご説明しましょう。
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よろしくお願いします。
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まず、単焦点眼内レンズの概要から説明します。
単焦点眼内レンズとは、一言でいうと、一点の距離だけに焦点を合わせるものです。そのため、そのほかの距離を見るときは、かなりぼやけて見えます。ですから、メガネの併用が必須となります。 -
名前のとおり、単焦点眼内レンズは、一点の距離だけに焦点を合わせるんですね。しかもメガネを併用しなければならないんですか。
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そうなんです。
一方で多焦点眼内レンズは、これもその名のとおり、複数の距離に焦点を合わせることができる眼内レンズです。2焦点だけでなく3焦点のものもありますし、EDOFという焦点深度が深いものがあって、遠くも近くもピントが合っているのが特長です。 -
なるほど。多焦点眼内レンズを選べば、メガネは不要になるんでしょうか?
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必ずしもメガネを併用する必要はなくなります。ですから、スポーツや旅行など、アクティブに動きたい人や、仕事などでメガネやコンタクトレンズの装用を少なくしたい人には、多焦点眼内レンズが適しているといえるでしょう。
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そう聞くと、単焦点眼内レンズは不便そうですね。
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そうですね。例えば読書をするときのことを考えてみましょう。
本と目の位置を調整してベストな位置に合わせても、体勢を変えるなどしてちょっと距離が変わってしまうと、視界がぼやけてしまいます。ですから、ずっと同じ距離をキープして読まなければなりません。ちょっと面倒ですよね。 -
本だけでなく、常に使うスマートフォンや、仕事で使うノートパソコンも同様だということですか?
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そうなんです。常に距離を一定に保たなければなりません。
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仕事のときに不便がないように、多焦点眼内レンズのほうが良さそうですね。
先生、もう少し多焦点眼内レンズについて教えていただけますか。
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日本で多焦点眼内レンズが認可されたのは、2007年のことです。
多焦点眼内レンズはメガネを併用せずとも、遠くも近くも見ることができる便利なレンズです。使用された方のうち、ほとんどの方はメガネなしで日常生活を送ることができているというデータがあります。 -
なるほど。メガネを手放せるのなら、こんなに便利なことはありません。しかし、デメリットはないのでしょうか?
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暗い場所でライトを見ると、目の中で光が乱反射して、ハロー・グレアという光がまぶしく見える症状が現れることがあります。しかし現在の多焦点眼内レンズにはハロー・グレアを抑えたものも開発されているので、ご心配なさる必要はありません。
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なるほど、暗いところでのライトの見え方ですか。仕事のときの見え方を重視したい私には、さほど大きな障害ではなさそうです。
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なら、多焦点眼内レンズをおすすめします。
多焦点眼内レンズが認可されたことは、眼科医療において20年一度の画期的な進歩だと評されています。白内障だけでなく老視にも効果的ですから、一度かかりつけの医師に相談されることをおすすめします。 -
いろいろ教えていただきありがとうございました。多焦点眼内レンズがとても優れたものだと分かりましたので、前向きに検討したいと思います。