老眼治療に白内障手術がいいと聞いたのですが本当ですか?
ご相談者様

私は白内障と診断されたのですが、まだ症状も軽く、生活に支障を感じないので手術をしようか迷っています。ところが先日、白内障手術で老眼が治せると聞きました。もし本当であれば、私は老眼がひどいので手術をしようと思うのですが……。
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白内障手術によって、老眼を治療することは可能です。というのも、老眼は白内障手術と同じく、水晶体の加齢変化によって起こる症状だからです。
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え、そうなんですか?
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水晶体は加齢によって、「濁る」「硬くなる」「大きくなる」などの変化が起きます。このうち、「濁る」が強くなると白内障、「硬くなる」が強く出た場合は老眼となるのです。
ちなみに、「大きくなる」ことで起こるのは、閉塞隅角緑内障です。 -

そうだったんですね。
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老眼とは、水晶体が硬くなることでピントが合わせられなくなる病気です。
水晶体は、遠くを見るときは扁平になり、近くを見るときは厚くなります。そうすることで光の屈折率を変えて、焦点距離を調節しているのです。ところが硬くなってしまうと、形状を変えることができなくなります。つまり、近くのものがどんどん見えづらくなっていくのです。 -

老眼というのはそういう仕組みなのですね。
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そのため、老眼は「調節異常」の病気ともいえます。
さて、白内障手術は水晶体の中身を取り除き、人工の眼内レンズに入れ替える手術です。 -

ああ、つまり、硬くなって調節ができなくなった水晶体を眼内レンズに入れ替えるから、老眼も治るのですね!
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その通りです。
ただし、単焦点眼内レンズを使用すると、老眼が治ったとはいえないでしょう。 -

それはどうしてですか?
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単焦点は、遠くか近くか、一カ所にしか焦点を合わせることができません。これでは、老眼の症状とほとんど変わりません。
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そうか、眼内レンズは焦点距離を調節することはできないから、結局のところ老眼の調節異常と変わらないわけですね。
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白内障の症状が軽くても、老眼を治すために早めに手術に踏み切る方はいます。その場合、多焦点眼内レンズを使用しないと意味がないでしょう。できれば、3焦点眼内レンズをおすすめします。この最新の眼内レンズは、焦点が合う距離が多いため、メガネが必要ないクリアな視界を手に入れる可能性が高まります。
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私は老眼が強くなって、本を読むときにいちいちメガネをかけなければいけなくなるのがとても煩わしいので、早めに手術を受けたいと思っています。その場合は、多焦点の眼内レンズを選ぶといいのですね。
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はい。ぜひそうしてください。
ちなみに、水晶体の変化のうち大きくなることで起きやすくなる閉塞隅角緑内障も、白内障手術によって治療することができます。
緑内障は、日本人の失明原因第1位となっている病気です。その一種である閉塞隅角緑内障にまだなっていなくとも、いつかなるかもしれないリスクを取り除く予防となるので、やはり早めの白内障手術をするメリットは大きいといえます。 -

白内障手術は、白内障を治す以外にもたくさんのメリットがあるのですね。いろいろ教えていただきありがとうございました。早めの手術を前向きに検討したいと思います。