最近、メガネを買い替えてもよく見えません。年齢のせいでしょうか?
ご相談者様
ここ数年間で頻繁にメガネを買い替えています。新調しても、程なくしてまた見えにくくなりメガネ屋へ行く…ということを繰り返しているのですが、見えにくいのは年齢のせいであって、仕方がないことなのでしょうか? それとも実は何らかの病気にかかっているのでしょうか。
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ご相談者さまのように「メガネを買い替えても見え方が改善されない」というケースは珍しくありません。やはり同じように「年齢のせい、仕方がない」と思い込んでしまいがちですが、実は諦めてはもったいない人ばかりなのです。もっと明確な原因があって、本当は改善策があるのに放置してしまっている状態なのです。
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諦めるには早過ぎるということでしょうか。ぜひ詳しく知りたいです。
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メガネを変えてもよく見えない場合、主に3つのケースを想定して対処していただくとよいでしょう。1つ目は、一定の時間経過によって眼の屈折度が変わって、メガネと度が合わなくなっているケースです。いわゆる「度が進む」という状態ですね。近視や遠視がより強くなった、乱視が進んだなどの屈折異常が該当します。この「度が進む」期間や早さには個人差があり、生活習慣などにも左右されますから、まちまちです。そのため視力の状態を調べて、前回および前々回にメガネを買い替えた時期を確認します。新調する間隔と、どれくらい度が合わなくなっているかという点を考慮して、特に異常がないようであれば、またメガネを買い替えて対応するというのが通常です。
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メガネをかけてもよく見えないと感じたとき、今までは「度が進んだのかな」と自己判断して、特に眼科を受診することなくメガネ屋へ行っていました。
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本来であれば眼科を受診していただくことが望ましいのですが、やはり自己判断でメガネを買い替える方が多いかと思います。それでよく見えるようになり、一定期間持続すれば結果オーライと言えるかもしれません。でも必ずしもうまくいくとは限りませんよね。
そこで2つ目のケースです。メガネを新調して、それほど時間が経ったわけでもないのにまた見えにくくなる、その間隔がだんだん短くなったり、前回の買い替えから明らかに早くなっていたり、メガネ屋でいくつか試してみたけど結局よく見えるメガネが見つからなかったといった方がいらっしゃいます。
このケースでは、実は「白内障」が関係していることが多いのです。白内障が進行すると、水晶体が濁るばかりか厚みなども変わり、屈折度が変化します。これが「メガネでは改善できない見えにくさ」の根本的な要因なのです。
50代以降では、加齢に伴い発症する「加齢性白内障」の患者さまが一番多いのですが、眼科へ行けばすぐに判明しますし、手術により、白内障のみならず老眼や近視、遠視、乱視などの症状を取り除くことができます。つまり、メガネをかけなくてもよく見えるようになるのです。よって「年齢のせいだから仕方がない」と諦めてしまうのは、とてももったいないケースなのです。 -
確かにもったいないですね。本当はちゃんと眼科へ行って、度が進んだ原因を調べてもらうべきなのですね。
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そして3つ目のケースは要注意です。実は白内障以外にも、メガネによる矯正が利かなくなる眼疾患があるのです。たとえば失明の原因にもなる緑内障、網膜疾患、加齢黄斑変性などです。メガネを買い替えると、一時的ながら見えやすくなるような気がして、何度もメガネを作り直すという対処法を続ける方もいらっしゃるのですが、このケースはきちんとした治療が必要です。治療を始めるタイミングが遅くなれば、失明のリスクが高まってしまいます。
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なるほど。よくあるケースを3つに分けて、このようにご説明いただけるとわかりやすいです。なかでも白内障が原因となっているケースが多くて、そうであれば治療により根本的に改善できるのですね。いずれにせよ、見えにくさを感じたらまず眼科にかかることが大切だと実感しました。