最近、若い白内障患者が増えているそうですが、高齢者の白内障との違いはありますか?
ご相談者様
最近、若い人の白内障が増えていると聞きました。高齢者がなる病気というイメージが強かったので、とても意外です。高齢者に比べて進行が遅いとか、症状が軽いなどの違いはあるのでしょうか?
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大きな違いといえば、まずは発症する「原因」です。白内障とは、水晶体のタンパク質が何らかの原因で濁ってしまい、見えづらくなっている状態です。高齢者がかかる白内障の多くは「加齢性白内障」といって、名前のとおり「加齢」によって引き起こされるタイプです。年齢とともにタンパク質が変質し、濁りのもととなっています。ただし加齢性といっても、決してお年寄りだけが発症するわけではありません。近年は若年化していて、40~50代で加齢性白内障と診断される方が増えています。
さらに最近では10代や20代、30代の患者さんが増えてきました。この年齢層の患者さんが、加齢以外の原因をお持ちなのです。
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10代の患者さんもいるのですね! どのような原因があるのでしょうか?
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加齢以外にも、様々な原因があります。ざっと述べると、
① 目を強く打つなどのケガ(外傷性白内障)
② 網膜剥離や緑内障、ぶどう膜炎など他の眼科疾患
③ 強度の近視がある場合やレーシックなどの目の手術の既往がある場合
④ 糖尿病の合併症(糖尿病性白内障)
③ アトピーがある(アトピー性白内障)
④ ステロイドを常用している(薬剤性白内障)
⑤ 生まれつきの体質(先天性白内障)
⑥ 原因不明
といったところですね。これら若年性の白内障は、加齢性白内障と異なり「進行が早い」という特徴があります。
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若い人のほうが病気に強いイメージですが、むしろ早く進行するのですね。進行スピードが違うと治療方法も変わってくるのでしょうか?
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発症する原因は違っても、水晶体が濁るという「見えにくくなる仕組み」は同じです。そのため治療においても、手術で濁った水晶体を取り除いて代わりに眼内レンズを入れるという点では、特に差異はありません。ただし先程も申し上げたように、若い人の白内障は進行が早く、ときにはほんの数ヵ月で急激に視力が低下する場合もあります。また網膜剥離や緑内障、糖尿病性、アトピー性皮膚炎などが原因で発症しているケースだと、水晶体だけでなく網膜や角膜、周辺の組織まで傷めてしまうことがあるのです。よって、若い患者さまの場合は特に「早期治療」が重要と言えるでしょう。
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「若いからまだ大丈夫」というわけではないのですね。
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眼科に行くべきかどうか、手術を受けるべきかどうかと悩んでいるうちに重症化するケースも珍しくありません。手術すれば完治する病気ですが、それでも早期発見・早期治療が重要です。気になる症状があれば、早めに眼科を受診してくださいね。