白内障お悩みQ&A

多焦点眼内レンズが向かない人っているのですか?

ご相談者様

ネットで眼内レンズについて調べたところ、「多焦点眼内レンズ 向かない人」という検索ワードを見かけました。合う人、合わない人って明確に分かれるものなのでしょうか? もしいるとしたら、合わない人とはどんなタイプなのでしょうか。

  • 簡潔にお答えすると、極めて少数ながら多焦点眼内レンズが向いていない人はいらっしゃいます。ただし5~10年前と現在では、合わない人のタイプや理由に大きな違いがあるので、皆さんにぜひ知っていただきたく思います。こういった訴求の機会につながる質問をしていただきとても感謝しています。

  • 本当ですか? 私の個人的な質問が多くの人の役に立つのなら、こんなに嬉しいことはありません。それではさっそくよろしくお願いします。

  • 多焦点眼内レンズのなかでいま主流となっているのは、近く・中間・遠くのすべてが見える「3焦点」です。3焦点眼内レンズの最初の商品が日本で出たのは2010年で、それより昔は「2焦点」しかありませんでした。2焦点だとピントの合う距離は近くと遠くの2ヵ所なので、中間は見えにくくなってしまいます。中間とは、たとえばデスクトップPCや料理などに適した距離ですね。

  • なるほど。2焦点は、中間を見たい方にはオススメできないのですね。デスクトップPCを使ったり料理したりするときに見えにくいとなると、結構ひんぱんにメガネをかけることになりそうです。

  • 2つ目は、趣味や職業として夜間にドライブする方々です。初期の多焦点眼内レンズは、夜間の走行中に街灯や対向車のライトが大きく二重に見えたり、本来よりまぶしく感じたりする「グレアハロー」という現象が生じることがありました。グレアハローは日ごろから夜間運転をする方だと気になりやすいため、多焦点はあまりオススメしていませんでした。
    3つ目は、強い近視や乱視がある方です。初期の多焦点では、そういった方々に対応できるタイプの多焦点眼内レンズが作られていませんでした。近視や乱視をカバーしきれなければ、やはり見えにくさを感じてしまいます。

  • 便利なレンズであっても、昔は幅広い方にオススメできるわけではなかったのですね。いまではそういった多焦点眼内レンズの短所は改善されているのでしょうか?

  • はい。2015年頃から3焦点眼内レンズの新製品ラッシュが起き、従来の短所を補った製品がたくさん登場しました。よく見えると実感していただく条件の1つは、高いコントラストを提供することです。そのためにはまず、目から入る光が眼内レンズを通過しても減ることなく、各焦点に振り分けられなくてはいけません。しかし当初の多焦点では、光の一部が眼内レンズに吸収されたり、反射したりして失われ、「近く」に配分される光の量が少なくなってしまいました。その結果、近くのコントラストが低下し、見え方が甘くなっていたのです。光の反射は、光量のロスだけではなくグレアハローの原因にもなります。
    しかし新製品ラッシュで光のロスを抑えた製品が登場し、多くの患者さんがメガネをかけずに手元の作業を行えるようになりました。グレアハローについても、光の反射を抑える技術によって軽減されて、夜間に運転する人にもオススメできる多焦点眼内レンズが登場しました。ほかにも乱視を矯正できるトーリックタイプが登場したり、強い近視がある場合でもオーダーメイドでぴったりの度数を作れるようになったりと、最近の多焦点眼内レンズは全体的に大きく改善されています。

  • ほんの数年間を経ただけで、驚くべき進化ですね。

  • 現在でも網膜や角膜などに白内障とは別の病気がある場合など、多焦点が不適合な場合も一部ありますが、現在の多焦点眼内レンズは幅広い方にオススメなレンズへとパワーアップしています。当院で使える多焦点眼内レンズは20種類以上と、国内でも屈指の取り揃えです。手術前の検査やカウンセリングを通して、ご自分にとって最もよく見えるレンズを選んでいきましょう。

白内障手術無料説明会

お申し込みはこちら